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フルマラソンで失速することなく完走するための考え方

フルマラソンには、いわゆる30kmの壁というものがあります。どんなランナーでも全体の2/3を走り終えたくらいから足が重くなり、30kmからは歩きを入れて、なんとかゴールを目指した経験のあるランナーさんもいるかと思います。

でも、この失速というのは原因さえ理解しておくことで、最小限に抑えることができます。もしかしたら、30kmから加速できるようになる人もいるかもしれません。そこで、今回はフルマラソンで失速しないために知っておくべきポイントについて解説していきます。

目次

フルマラソンは燃料タンクに入っているエネルギーを効率よく使うスポーツ

自分の体を自動車だと考えてみてください。自動車はどれだけ高性能なエンジンを積んでいても、ガソリンがないことには動くことはできません。人間の体もエネルギーがなくなると走れなくなります。エネルギーというのは糖や脂肪のことです。

このエネルギーをいかにして効率よく使うかが、マラソンをうまく走れるかどうかの鍵を握ります。自動車で急発進、急停止を繰り返すとガソリンはあっという間になくなってしまいます。同じガソリンの量でも優しく運転する人と、荒い運転をする人とでは燃費に大きな差が出ます。

自動車の場合には、ガソリンがなくなればガソリンスタンドで給油すればいいだけですが、ランナーの場合にはそうはいきません。エイドで多少の補給はできても、とてもじゃないですが走って消耗するだけのエネルギーを、エイドだけでまかなうことはできません。

だから、できるだけ無駄な力を使わずに、42.195kmでちょうどエネルギーを使い切るようにして走ります。ただ難しいのは自動車と違って、自分の燃料がどれくらい残っているのか見えないという点にあります。

自分の燃料がどれくらい残っているのかは推定するしかない

自分の燃料がどれくらい残っているのか。これをできるだけ正確に把握できる人が、フルマラソンではいい結果を残すことができます。ただ、この燃料というのは推定するしかありません。

「このペースなら大丈夫」「ちょっとオーバーペース過ぎる」こういう感覚は、経験を積むことでしか得ることができません。だからトップランナーですら、初マラソンでいきなり結果を出すことができません。私たち市民ランナーであれば、なおのことです。

何度か失速を経験し「これくらいのペースだと失速する」を学ぶ必要があります。そういう意味では、これまでの失速は決して無駄なことではありません。

ただ、注意しなくてはいけないのは、ペースで負荷を判断しないということです。初心者がやりがちなのが「練習で5min/kmで問題なかったから、レースでも5min/kmでいける」と決めてしまうというミスです。練習と本番では環境のコンディションも、自分のコンディションも違います。

練習での気温が10℃しかなく、レース本番が20℃にまで上がったら、当然ペースを落とさなくてはいけないのですが、練習でのペースを基準にしてしまうと、オーバーペースになって失速します。そうならないために大事なのが、自分の感覚です。

自分の感覚を磨くには心拍数を参考にする

勘のいい人なら「これくらいのペースなら、無理なく完走できる」というのを、数回走っただけで掴みます。でも、すべての人がそんな芸当をできるわけではありません。なので、自分で感覚を掴めないという人は心拍数を測りながら走ってみましょう。

ランニングに限らず、運動には強度というものがあり、運動強度が高くなればなるほど心拍数が上がります。マラソンに最適な運動強度は、最大心拍数の70%~80%程度とされています。最大心拍数は人によって違いますが、次の計算式が参考になります。

最大心拍数=208−0.7×年齢

年齢が45歳なら、208−0.7×45で176.5ということになります。このため、最大心拍数の70〜80%で走るときの心拍数は123〜141なら、失速せずに走りきれる計算になります。ただし、最大心拍数は上記の計算から±10くらいの個人差があります。

しっかりと鍛えていれば、151くらいでも失速せずに走りきれる人もいますが、トレーニングをサボっていれば120以下の心拍数でも、30km以降に歩くことになります。だからやっぱり練習は必要で、練習の中で自分に最適なペースを掴まなくてはいけません。

ただ目安としては、最大心拍数の70〜80%程度と覚えておいて、その数字と自分の感覚をすり合わせを行いましょう。何度もやっていると心拍計を確認しなくても、自分がオーバーペースなのかベストなペースなのかの判断がつくようになります。

「今日は調子がいい」は絶対にない

最後に初心者から中級者までがやりがちなミスについてもお話しておきましょう。マラソン大会は普段のトレーニングと違って、周りにたくさんのランナーがいます。そこに大きな流れができるので、序盤はどうしても周りに流されてオーバーペースになります。

また、スタート直後の渋滞にストレスを感じて、縫うようにして人を抜いていく。これも体力の消耗につながります。でも、マラソン大会を走っているという高揚感から、なぜか「今日は調子がいい」と思い込んでしまいますが、これは100%勘違いです。

調子がいいと思うから、想定していたペースよりも速く走れる気がする。そのまま速いペースで走って30kmで失速というのはベテランランナーでもやってしまうミスのひとつです。100歩譲って調子のいい日だったとしましょう。それでもマラソンにおいてはキロ1〜2秒程度しかペースは上がりません。
想定よりもキロ5〜10秒も上げて走れるなんてことは絶対にありません。もし調子がいいと感じたら、こう考えてください。

「調子がいいから残り10kmからペースを上げよう。それまでは力を溜めておこう」

調子がいいからペースを上げるのではなく、想定ペースを維持する。そして32kmを過ぎて、やっぱりまだ走れるなら、そこからペースを上げればいいんです。それで十分に良い記録が出ます。そもそもの想定ペースよりも速いタイムになるわけですから。

でも実際には、残り10kmでペースを上げることはできません。調子がいいというのが幻想でしかないのですから。でも考え方としてはとても有効です。調子がいいと感じたなら、ぜひ試してみてください。

まとめ

マラソンは練習以上のものが出ることはありません。マラソン当日に燃料タンクの容量が増えるなんてこともありませんし、ガソリン車がハイブリッド車になることもありません。自分に備えられたエネルギーをいかんして上手に使い切るか。そのためには、まず自分の燃料タンク容量を把握することから始めましょう。

自分で推定することが難しいという人は、心拍計のついたGPSランニングウォッチを購入して、心拍数を測りながら走りましょう。最大心拍数の70〜80%を目安にして、自分が最後まで走ることができる感覚を掴みましょう。

それができるようになれば、マラソンの後半に大失速することはなくなります。ただし、ベテランランナーでも「今日は調子がいい」という罠にハマってしまうこともありますので、調子がいいと思っても前半は抑えて、残り10kmからペースアップをするイメージで走ってみましょう。

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