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豚肉だけでは足りない!ランニングにおけるビタミンB1の重要性

ランナーにとって重要な栄養素は何だと思いますか?タンパク質?炭水化物?もちろんそれらはエネルギーや筋肉になるので必要です。脂質だってエネルギーですので不要なわけではありませんし、ウルトラマラソンを走るときには脂質は強力なエネルギー源になります。

でも炭水化物や脂質は、そのままランニングのエネルギーとして使えるわけではありません。筋肉を動かすエネルギーにするには、ビタミンB1が必要なのですが、この重要性についてはあまり語られていません。そこで、ここではビタミンB1がなぜ必要なのかについて、詳しく解説していきます。

目次

マラソン後半の失速はビタミンB1不足が原因

私たちの筋肉はATP(アデノシン三リン酸)という化合物を使って動きます。その仕組はあまりにも複雑ですので、ここでは詳しく解説しませんが、このATPは糖質や脂質を原料としており、この糖質や脂質をATPに変換するときにビタミンB1が必要になります。

ということは、体内のビタミンB1が枯渇すると筋肉が動かなくなります。そう言われると、なんとなく思い当たる節がある人もいるのではないでしょうか。

マラソンで後半に失速するのを「エネルギー不足」と思っている人もいるようですが、実はビタミンB1不足になっているケースが意外とたくさんあります。なぜなら、わたしたち人間には体脂肪があり、それをエネルギーにできれば、マラソンレースで「エネルギー不足」になることはありません。

実際にはたくさんの体脂肪を持っているにも関わらず失速する。それはビタミンB1が足りなくなって、糖質や脂質をエネルギーに変えられなくなっていることが想定できます。

ビタミンB1不足が脚気を引き起こした歴史

実は日本人は長いこと、このビタミンB1不足に悩まされてきた歴史があります。そのひとつが「江戸患い」というもので、江戸時代に江戸では麦めしや玄米ではなく白米を食べることが流行り、それに合わせるように脚気になる人が増加しました。

また、日露戦争では3万人が脚気によって命を落としました。これは銃弾で殺された人数よりも多く、白米の食事を続けたことが原因とされています。

なぜ白米にするとビタミンB1不足になるかというと、ビタミンB1は米ぬか部分に多く含まれており、玄米のまま食べれば必要なだけのビタミンB1を摂取できるというわけです。ただし、これに必要な玄米の量は4合程度で、まさに宮沢賢治の「雨にも負けず」の世界です。

日本人がビタミンB1不足を補うために、1日4合の玄米を食べていました。これが白米になった途端にビタミンB1が足りなくなり脚気を引き起こしたというわけです。

でもいまは白米しか食べてないけど、脚気になる人はほとんどいません。それは豚肉を始めとしたビタミンB1を多く含む食材を多く取り入れた欧米スタイルので食生活に変わったからで、通常の生活をする上ではビタミンB1の不足はそれほど気にする必要はありません。

ランナーに必要なビタミンB1の摂取量

ビタミンB1は国が推奨量を示しています。

30〜49歳男性:1.4mg/日
50〜69歳男性:1.3mg/日
30〜49歳女性:1.1mg/日
50〜69歳女性:1.0mg/日

これがどれくらいの量なのかいまいちわかりませんよね。具体的に食べ物でどれくらいの量になるのか見ていきましょう。

豚ヒレ肉(生・100g):1.32mg
豚ロース肉(生・200g):0.8mg
しゃけ1切れ:0.26mg
納豆1パック:0.14mg
玄米ごはん(100g):0.16mg
アーモンド10粒:0.2mg

豚ヒレ肉100gで男性が1日で必要なビタミンB1を補えるとなると、意外と簡単に思えるかもしれません。ただ、ビタミンB1は焼いたり煮たりと調理をすると量が減ります。しかもヒレ肉なら十分なビタミンB1が含まれていますが、ロース肉は200gで0.8mgしかありません。

さらにこれらは、一般的な人の活動量から算出しており、ランナーのように一般の人よりも消費カロリーが多い場合には、さらに多くのビタミンB1が必要になります。日本スポーツ協会によるとランナーは一般の人よりも1.75〜2.5倍ものエネルギーを消費します。

そこまで追い込んでトレーニングをするかどうかは人によりますが、単純に国が定めるビタミンB1摂取量では不足し、できれば上記の2倍は摂取したいところです。そうなると豚ロース肉なら800gも1日で摂取しなくてはいけません。

ランナーはビタミンB1はサプリメントで補うしかない

ビタミンB1を日常生活で困らない程度に摂取するなら、玄米食にして豚肉を中心とした食生活にするだけでいいのですが、ランナーの場合にはそれではまったく足りません。足りなくなりやすいのではなく、完全に足りなくなります。

ですので、ビタミンB1はサプリメントで摂取する必要があります。サプリメントはビタミンB1だけでなく「ビタミンBミックス」みたいな商品がおすすめです。ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、 パントテン酸、ビタミンCが含まれていると、エネルギー代謝を活性化させます。

サプリメントに頼りたくないというのであれば、食事で補うのでもいいのですが、かなり綿密に計算しないとビタミンB1不足を補うことができません。また、栄養学の知識なども必要になるので、素直にサプリメントで摂取するのがおすすめです。

大量に摂取しても排出されるだけですので、適量を自分なりに調整して利用しましょう。サプリメントに「1日2粒」となっていても、食事でしっかり摂れているなら1日1粒でもOKです。

まとめ

ビタミンB1がランナーにとっていかに重要で、それでいて不足しやすい栄養成分であることを理解してもらえたかと思います。このことはトップアスリートでは常識でありながら、市民ランナーにはあまり知られていない情報です。

後半になっても失速しない体を手に入れたいなら、ビタミンB1か足りない状態を作り出さないことです。疲労回復という意味でも、ビタミンB類はとても重要な栄養素なので、普段の食事から意識して、それでも足りないようならサプリメントを活用しましょう。

マラソンでの失速の原因はトレーニング不足や調整ミスではなく、単純にビタミンB1不足になっている可能性もあります。どれだけ鍛えていても、ビタミンB1が不足すると良い結果にはなりませんので、これからはビタミンB1を意識して最後まで走りきれるカラダづくりを目指しましょう。

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