レースペースを想定したトレーニングを行う
自分の目標とするフルマラソンのタイムと、そのペースをすぐに答えられるだろうか。タイムを答えられるランナーはいても、ペースとなると「計算しないとわからない」という人もいるのではないでしょうか。これではいいトレーニングを行うことはできません。
「レースペースで走りましょう」と言われたときに、迷うことなく走り出せることが走力向上につながります。もちろん計算力が欲しいわけではなく、日頃からレースペースを想定するということが大事で、それを意識したトレーニングを行う必要があります。
目次
まずは自分のレースペースを確認しよう
レースペースというのは、フルマラソンの目標タイムに対してイーブンペースで走ったときのペースだと考えてください。例えばサブ3を狙うなら、イーブンペースは4分15秒/kmということになります。キリのいいタイムのペースを書き出しておきます。
2:00:00:2分50秒/km
2:30:00:3分33秒/km
3:00:00:4分15秒/km
3:30:00:4分58秒/km
4:00:00:5分41秒/km
4:30:00:6分23秒/km
5:00:00:7分06秒/km
5:30:00:7分49秒/km
6:00:00:8分31秒/km
6:30:00:9分14秒/km
これで、おおよその自分のレースペースを把握できたかと思います。もしサブ4を狙うなら5分41秒/kmでいいわけです。実際には給水のロスやスタート渋滞も考慮しなくてはいけないので、それ以上のペースで走りますが、トレーニングとしては5分41秒/kmがレースペースになります。
3時間15分で走りたいといった場合など、もう少し細かく設定したいなら、ペースの計算ができるサービスなどを活用しましょう。大事なのは、まずは自分のレースペースを把握するということです。計算しなくてもすぐに頭に思い浮かべられるようにしましょう。
ポイント練習の内容に合わせてペースを変える
レースペースがわかったら、今度はそれをトレーニングのペースに活用します。
スピード練習:レースペースよりも速く
ペース走:レースペースと同じ
ロング走:レースペースよりも遅く
かなり雑な分け方をしましたが、このようにトレーニングの種類によってペースを変えます。スピード練習は心肺機能に高い負荷をかけるために、レースよりも速いペースで行います。反対に30kmなどのロング走ではレースペースで走ると疲労が溜まって、リカバリーが遅れてしまいます。そうならないためにもレースペースよりも、少し抑えて走ります。
ペース走は自分のペースを体に覚えさせる目的もあるので、このときだけは目標とするレースペースで走りましょう。他の2つのポイント練習で、どれくらい速くしたり、遅くしたりするかは個人差がありますので、自分で試行錯誤しながら最適なペースを探してみましょう。
大事なのはペースに意味を持たせるということです。日本人は努力は報われるという考え方をする人が多く、なんでも全力で取り組むのが美徳とされていますが、意味のない頑張りほどムダなことはありません。ロング走を全力で走ったら、数日はリカバリーできず、次のポイント練習の質が下がります。
ランニングは積み重ねのスポーツですので、1回だけ頑張ることよりも、質の高いトレーニングを継続することが重要です。継続のためにはペースを考えて走ることが必要になり、そのペースを決めるのが自分のレースペースになります。
自分のレースペースがわからないようでは、いつも感覚でトレーニングを積み重ねることになり、効率よく鍛えることができません。
初心者ランナーはまずフルマラソン完走を目標とする
レースペースを軸にトレーニングを組むことの重要性をお伝えしましたが、これはフルマラソンを歩かずに走りきれる中級者以上の話で、初心者や初級者はまた少し話が変わってきます。フルマラソンを走りきれないもしくは、走ったことがないというランナーは、まずは自分のレースペースを探ることから始めます。
いろいろとそのための手法はありますが、シンプルなのは「会話を楽しめるペース」を掴むことです。ランニングしながら会話をして息が切れない。これくらいのペースが、自分にとってのレースペースだと考えてください。
ただ、いきなりはそのペースで42.195kmを走り切るのは無理です。体力をつけて、さらにはペース感覚を身体に染み込ませる必要があります。このようなレベルでは、スピード練習を行う必要ありませんので、まずは会話を楽しめるペースで長い時間走れるように距離を伸ばしていきましょう。
距離を伸ばすときには焦らないことが重要です。体力も筋力も思った以上に成長するスピードが遅く、無理にトレーニングを積み重ねるとケガをします。本来であればフルマラソンを走れるようになるには3年計画くらいで行うのが理想です。それくらい身体の成長はゆっくりです。
あわてずじっくりと走行時間、走行距離を伸ばして体力をつけていきましょう。会話を楽しめるペースで無理なくハーフマラソンを完走できるようになったら、フルマラソン出場を視野に入れてOKです。ハーフマラソンが苦しい状態でフルマラソンを走るのは無謀です。
いずれにしても初心者や初級者に大事なのは「会話を楽しめるペースで走り続ける」ということ。まずはそのペースを見つけて、徐々に距離を伸ばしていくようにしましょう。速さを求めるのは、まずはフルマラソンを完走してからで十分です。
まとめ
どのレベルのランナーでも、マラソンを走る上で大事なのが自分のレースペースを知るということです。すでにフルマラソン完走の経験がある中級者以上は、すぐに自分のレースペースを答えられるようにして、そのレースペースを基準にしてポイント練習を行いましょう。
初心者や初級者はレースペースがわからないかと思いますので、会話を楽しめるペースを仮のレースペースとしてください。まずはそのペースを身体に覚えさせ、徐々に距離を伸ばしてください。ハーフマラソンを問題なく走れるようになったらフルマラソンにエントリーしてみましょう。
フルマラソンでの反省から自分のレースペースを再定義して、トレーニングを積み重ねる。そしてまたレースに挑戦する。マラソンはそのトライアンドエラーの繰り返して成長していきます。何も考えずに走るのではなく、普段からレースペースを意識して効率的に成長していきましょう。