マラソンで記録を出すには精神面での体力を鍛える必要がある
マラソンは体力を競うスポーツです。では体力とは何なのでしょう?長く運動をし続けるのに必要な力を「体力」とイメージしている人が多いかと思いますが、実際に体力というのはもう少し複雑な構造をしています。
例えば体力というのは身体的要素と精神的要素に分かれており、身体だけを鍛えても心が鍛えられていないと42.195kmをイメージ通りに走り切ることはできません。マラソンは体力を競うスポーツだから、肉体面のトレーニングと精神面でのトレーニングが必要なのですが、この精神面でのトレーニングについて語られることはあまりありません。
そこで、今回はメンタルがマラソンにどのような影響を与えるのか、そしてどうすれば精神的要素としての体力をアップできるのかを解説していきます。
目次
- ○ 体力とは
- ○ 精神面での体力を高める方法
- ○ 精神力の強さは気合や根性と同じではない
- ○ まとめ
体力とは
私たちが「体力がある」という言葉を使うときに、ランナーであれば「体力=持久力」として考えてしまいがちですが、持久力というのは体力の中の要素のひとつに過ぎません。体力というのは身体の総合力のことであり、例えば免疫力の高さや適応力なども体力の構成要素のひとつになります。
また、身体だけでなく「意欲」や「判断力」といった、精神的要素も体力のひとつであり、それぞれが密接に関わり合っていることがわかっています。やる気が湧いていれば、前向きな自分の成長を促しますが、悩みを抱えていると自分のポテンシャルを引き出すことができません。
反対に身体が整っていれば、自然と意欲が高まり、競技中に正しい判断を行えるようになります。このように身体と精神は深く関わりがあり、どちらかだけが優れているだけではダメで、マラソン大会などで結果を出すには、いずれも整えてスタートラインに立つ必要があります。
特にマラソンのような長時間運動の場合は、精神的要素の影響度が大きく、身体を鍛えるだけでは勝てるランナーにはなりません。精神的要素としての体力をしっかりと整えておき、最後の1メートルまで自分をコントロールする必要があります。
精神面での体力を高める方法
体力の精神的要素は防衛体力と行動体力に分かれます。防衛体力は精神的ストレスに対する抵抗力のことですので、高めることで練習やレースでのストレスに耐えられるようになり、粘り強い走りができるようになります。
行動体力は「意志・判断・意欲」の3つから構成され、これらを高めることでモチベーションを維持し続けることができます。
精神的要素は身体的要素よりも軽視されがちですが、しっかりと高めておかないとトレーニングに身が入りませんし、厳しいトレーニングを耐え抜くこともできません。ただ、これらを鍛えるのは難しく、まずは整えることから始める必要があります。
栄養バランスのとれた食事と良質な睡眠。まずはこの2つを実践しましょう。これによって自律神経のバランスが整い、メンタルが安定します。それぞれの具体的な方法については、別記事で解説しますので、ここでは食事と睡眠が大事だと覚えておきましょう。
その先は専門家の助けが必要になりますが、瞑想やメンタルトレーニング、呼吸法など様々な角度からアプローチを行います。これらにより安定した状態を意識的に維持できるようになり、いつでもやる気に満ちた自分でいられるようになります。
精神力の強さは気合や根性と同じではない
スポーツに於いて精神力の強さというと、なぜか気合で乗り切る根性論のようなものが出てきます。苦しくても根性で前のランナーについていく。マラソンの中継でも「ここはがんばって食らいついていく必要があります」なんてことを言う解説者もいます。
確かにマラソンはある程度の根性は必要ですが、気合や根性だけでなんとかなるスポーツではありません。むしろ、それとはかけ離れた科学的かつ頭を使うスポーツで、無駄な努力は成長どころかケガを誘発してしまいます。
精神的に強い状態というのは「耐える」ではなく「ブレない」ことにあります。ある程度の年齢以上になると、スポ根の影響を受けている人が多いので、苦しみに耐えようとします。でも市民ランナーレベルで、フルマラソンを走るのに苦しさが発生するのは精神的な弱さが原因です。
自分の身体の声を聞いて、その日のペース設定を行い、そのペースで設定タイムを淡々とキープできればマラソンにおいて苦しみはそう簡単には生まれません。精神的な弱さから、設定したタイムよりも速く走ってしまうから苦しくなります。
マラソンランナーとしての精神力の強さを手に入れたいなら、ブレない心をイメージしてください。1度決めたらそれを最後までやり通す強さとオーバーペースにならない賢さを身につけることで、完走タイムが安定するようになります。
まとめ
マラソンは身体を鍛えているだけでは走り切ることができず、身体を鍛えるのとどうようにメンタルもしっかりと鍛えておく必要があります。そして、その精神的な強さを支えるのが栄養バランスのとれた食事と、質の高い睡眠です。まずその2つがなくては砂上の楼閣になります。
それらを整えた上で、瞑想やメンタルトレーニング、呼吸法などの専門家のレッスンを受けるようにしましょう。精神的な強さを手に入れるトレーニングは相性がありますので、自分に合うと感じたものを取り入れてください。
また、メンタルの強さと根性論を一緒にしないことも重要です。気合や根性は少なくとも市民マラソンにおいては不要です。そんなものに頼っているといつまで経っても、走力は上がりません。冷静に自分を分析して、設定したタイムを維持して走り続けられる強さを身に着けましょう。