連動していない腕振りは不要!体力を温存して走ろう
走るときには腕を振るものと思い込んでいる人もいるようですが、その腕振りは本当に必要ですか?腕を振ることで推進力が生まれていますか?実はほとんどの人が腕振りによってロスが生まれて、後半の失速に繋がっています。
腕振りと足の動きが連動していれば問題ないのですが、ランナーの多くがただ腕を振っているだけで、それどころか腕の動きが走りを阻害していることもあります。そこでここでは、ランニングにおける腕振りの基本的な考え方を説明していきます。
目次
多くの人が腕が振り回されているだけ
基本的には腕振りは必要ないというのがRUNWAYの方針ですが、まったく意味がないというわけではなく、例えばキロ3分で走ろうと思ったら腕振りは必要です。必要どころか、効果的に行わないとそのペースを維持することはできません。
足の動きと肩甲骨の動きを連動させ、その連動を阻害しないために腕を振る。そして腕を振ることで肩甲骨が動き、スムーズな足の動きに繋がる。このような動きができるようであれば、腕振りはとても有効です。
でもほとんどの人は、足と肩甲骨、肩甲骨と腕が連動していません。腕を振っているのではなく、腕が振り回されている状態にあります。これでは速く走るどころか、腕振りがスピードアップの邪魔になります。
自分で連動を意識でき、腕振りによって加速しているのを感じられないのであれば、腕を振る必要はありません。むしろ腕を振らないことで省エネの走りになり、レース後半にエネルギー切れで失速するのを防げます。
連動させるポイントは体幹にあり
ランニングをしていると「体幹が大切」という言葉を、何度か耳にしたことがあるかと思います。腕振りを足の動きと連動させられるかどうかは、この体幹にかかっています。体幹がしっかりとしていないと、足と肩甲骨が連動することがなく、腕振りをしてもお腹周りでその力が減衰します。
ランニングフォームを後ろからチェックするとよくわかるのですが、連動できていない人の走りは腰がクニャクニャしています。体幹がしっかりとしているトップランナーは1本の軸がしっかりとしており、足の動きが腰を伝わって肩甲骨、腕が連動しているのがわかります。
腕振りを効果的にするには、体幹を整えるためのインナーマッスルを強化しなくてはいけません。ただ、このインナーマッスルの強化はかなり難しく、専門的なトレーナーから指導を受けないと身につくことはありません。
YouTubeなどの動画から、インナーマッスルを鍛えるための動きを学ぶことができますが、ほとんどの人はその動きをしてもアウターマッスルを使うので、体幹が整うことはありません。もちろんアウターマッスルも必要ですが、インナーマッスルが弱いと体に軸ができません。
体幹を整える話はまた別にするとして、ここで大事なのは体幹が整ってないと腕振りが足の動きと連動しないということで、そして多くのランナーが体幹が整っていないので、「腕振りは不要」となるわけです。腕の振り方を指導するトレーナーもいますが、形だけを真似しても意味はありません。
リズムを取るために小さく振るのはOK
腕振りが必要ないと言っても、これまで腕振りをしてきた人がいきなり腕を振らない走りをしようとしても上手くはいきません。腕を振るのが癖になっていますし、腕振りで走りのリズムを取っているためです。このリズムを取るというのはマラソンではとても重要です。
一定のリズムで安定して走り続けることで消耗を避けられますし、自動運転のように前に進むことができます。このように、走りにリズムをつけるために腕振りをするのは構いませんが、それでも腕振りの幅は20cmも必要ありません。
腕を振ることで、肩甲骨がわずかに動く範囲内で抑えておきましょう。このとき脇を軽く閉めておくことがポイントです。脇が開いていると腕が遠心力で振り回されてしまいます。高橋尚子さんなどは現役時代に脇を開けて走っていましたが、それが可能なのも体幹が整っているからです。
普通の人が脇を開けて腕振りをしたら、制御しきれなくなって上半身がバタつくだけの走りになります。サブ3.5を狙うくらいのレベルなら、脇を軽く閉めて、腕はできるだけコンパクトに振るように心掛けましょう。このとき肩に力が入らないように注意してください。
手を後ろで組んで走ってみる
腕を振るなと言われても、クセで腕振りなしでは走りにくいという人は、腕を背中側で組んで走ってみましょう。最初は腕が暴れて走りにくいかもしれませんが、1〜2kmも走れば肩甲骨あたりの筋肉が緩んで腕が落ち着きます。
その状態で走り続ければ、腕を使わずに走るコツがわかるようになります。腕を組んだ状態でスムーズに走れるようになったら、組んだ手をほどいてジョグをしてみましょう。以前よりも腕を大きく振らなくても走れるようになっているはずです。
1回で身につくものではありませんので、毎日の練習で走り出しの1kmだけでも背中側で手を組んで走るようにしてください。体がほぐれてきたら腕を戻してジョグ→ポイント練習という流れにすれば必要以上に腕に頼ることもなくなります。
まとめ
トップランナーでもないかぎり、マラソンにおいて腕振りは必要ありません。キロ4分を切るくらいのペースになれば腕を連動させないと走れなくなりますが、キロ5分(フルマラソン3時間30分)くらいなら、腕振りが走りの邪魔になることすらあります。
リズムを取るために軽く振るのはOKですが、腕に振り回されないように小さな振りを意識しましょう。そのとき、肩に力が入らないように気をつけてください。肩の力を抜くのが難しければ、体の後ろで手を組んだ状態で走ってみましょう。
マラソンで大事なのは効率的に走ることで、いかにしてエネルギーを消耗しないかがとても重要になります。走りに連動している腕振りは有効ですが、ただ振っているだけですと、エネルギーロスでしかないので、腕振りに頼らず走るフォームを身につけましょう。